ベス単は正義。多分
こんばんは。オンライン授業の弊害か、課題が多くてなかなかブログにまで手が回らなかった部長です。
今回は、100年前のレンズのご紹介。
一言で100年と言いますが、つまりは大正時代!我々世代にとってはひいひいお婆さんとかが生まれた年だったりするわけです。世界だとベルサイユ条約とか、日本だと日立製作所が誕生した年みたいです。因みに100年前の日本も恐慌に襲われていたそうで、経済というのはなかなか上手くいかないようです…
さて、今回ご紹介するレンズは、フード外しで有名な、ヴェスト•ポケット•コダック。通称ベス単です!
なんじゃそりゃって方もいるかもしれませんが、その手のマニアの中では非常に有名。かの植田正治氏(鳥取砂丘の人)も愛用され、SONYユーザーが特に好むオールドレンズ遊びの源流となった逸品です。
レンズの違うヴェスト•ポケット•コダック。長く製造されていると、搭載レンズや形状に変化が出てくるということも珍しくありません。
このレンズの母体となったカメラの製造期間はなんと15年。大正元年から昭和元年までってなかなか長いものですね。製造台数も100万台を超えるといわれ、エヴェレストの世界初登頂を目指したジョージ マロリー氏のお供にも選ばれました。残念ながら彼が登頂したという記録を後世に残すことは出来ませんでしたが、激動の20世紀前半をその目で見つめてきたという事実に変わりはありません。なんてったって、100万台ですもの。
今回は、カメラ本体から外された後のレンズと、それを参考に製作されたキヨハラソフトのvk70の作例写真を少々。実は100万台製造されたヴェスト•ポケット•コダックですが、ベス単と呼ばれるレンズを搭載したものは意外と多くないようで。
半世紀前、先述の植田氏が本を出版したことで人気は爆発、世界中の中古品が日本に運ばれてレンズだけが取り出され、オリジナルの状態を保ったものは殆ど残っていないのではと噂されるほど。そのことを悲しんだ清原さんという方が本物の代わりにと製造したのがキヨハラソフトで、70mmと50mmが存在します。
しかし現在ではソフトレンズって受けが悪いようで、どちらも千円以下で手に入れてしまいました。高画素化や画像のシャープさが求められる今、ソフトレンズの立ち位置は難しい場所にいるのかもしれません。
庭に咲いた花を1枚。おぉ…100年の時を感じる写り(???)
似たようなカットを模倣のVK70Rでも試してみました。
うわあ なんだか凄いことになっちゃったぞ
確かにソフトだけど全然違うじゃん!と撮っている時は思ったのですが、撮影後によくよく考えてみると、二本のレンズは開放F値が絞り一段分ほど違うのです。iso感度は100、シャッターは1/500で固定した筈なので、露出やボケ味が違ってしまうのは致し方なし。なお、使用機材はどちらもニコンのフルサイズ一眼にしました。
なにぶん手持ちなもので、被写体までの距離とかが一切合っていないのはご了承下さい。先程と同様、上がオリジナルで下がキヨハラソフト。
ただ、絞り約一段分の差でここまで描写の違いって出るものなんでしょうか。
バイト先で見せたところ、やはりオリジナルの方の写りの方が上品なんじゃあないかという評価が。軟焦点も、やり過ぎは禁物のやうです。
で、本日絞りを調整して撮り直してみました。確かベス単は開放がf6.7あたりだったと耳にしたので、今度はその辺りで比べてみましょう。
ベス単 開放
VK70R 開放
VK70R f6.5付近
やっぱり、違う。
個体差はあるかもしれませんが、VK70Rだと、ベス単の人気の理由となった「芯が残りつつも柔らかい写り」とは少し離れているように感じます。
もう一つ、模倣レンズに現行のmomo100というレンズが存在するのですが、ネットに上がる作例を見る限り、写りをソックリそのまま再現というわけにはいかないみたい。今回の実験を踏まえ、たった1群2枚という単純な構成のレンズでも、決して作ることが容易なのではないという結論に至りました。
やはりオリジナルこそが至高である!多分。
さて、そろそろ街にも活気が戻ってきました。あとは大学への登校が再開となれば、いつも通りの日常ですね。よく眠れていた健康的な毎日を手放し、満員電車に揺られる日々があまりにも辛く感じられます。
大学にもオンライン授業月間とか出来ないかなぁ…